鍼をするとどうなるのでしょう。

 

鍼鎮痛の研究史

1958年 鍼麻酔で扁桃腺を摘出  上海第一人民医院
1964年
モルヒネの脳内注入による鎮痛効果発見  (Tsou&Jang)
1965年 Gate Control説発表        (Melzack&Wall)
1969年 脳の局所刺激による鎮痛効果(SPA)発見  (Reynolds)
1972年 ニクソン大統領訪中。鍼麻酔の研究はじまる 
1973年 鍼麻酔の生理学的総説発表        (Chang)
1973年 モルヒネ受容体が脳内で発見     (Pert&Snyder)
1975年 脳内モルヒネ様物質の構造決定(β-エンドルフィン)                   (Hugh et al)
1976年 鍼鎮痛においてモルヒネ様物質の関与を発見(ネズミ)                   (Pomeranz et al)
1977年 鍼鎮痛においてモルヒネ様物質の関与を発見(ヒト)                   (Mayer et al)
1978年 ポリモーダル受容器の関与が指摘される                   (Kumazawa)
1979年 広汎性侵害抑制調節(DNIC)発見                   (Le Ber et al)
1980年 足の電気ショックによる鎮痛(FSIA)発見                   (Le Ber et al)
1982年 鍼鎮痛におけるモルヒネ様物質の関与総説の発表                   (Han&Trenius)
1989年 ポリモーダル受容器仮説の提唱       (Kawakita)
1990年 鍼鎮痛とDNICは入力が異なるとの説が報告                     (Bao et al)
1991年 鍼鎮痛の内因性オピオイドの関与に疑問が提出される                   (Bossuit et al)
1991年 鍼鎮痛とDNICの類似性が主張される    (Bing et al)
1996年 カプサイシン感受性の細径求心性神経が鍼灸刺激に関与している                 (Okada et al)
1997年

アメリカ国立衛生研究所が鍼治療を正式に医療であると認知すべきと勧告。

1997年 内臓体制反射に対してハリ刺激は抑制効果を持つ。視床内側下核が関与している          (Sumiya et al)
1999年 圧痛点の発現には筋膜のポリモーダル受容器のような侵害受容器の監査が関与している。      (Itoh et al)
2000年 鍼鎮痛とDNICは類似。ポリモーダル受容器が関与している。                   (Murase et al)

はりをすることで身体にどのような影響が起こるのでしょう?

はりがどのようなものかはおわかりいただけたと思います。では私たちの身体にはりをすることでどのような影響が起こるのでしょう?古くから言われているのが経絡を流れる気の調整というもの。これはとてもわかりにくいです。しかし、現在では様々な研究が行われています。多くは痛みに対する治療に用いられてきました。しかし、その理由が科学的にわかりはじめたのは1958年の中国上海の実験にさかのぼります。そのあたりを少々調べてみました。なにやら左の表を眺めていると鍼をすると鎮痛が起こるらしい・・。しかもいろいろな説があり、どうやら身体には痛みをゆるめる物質(脳内モルヒネ〜β-エンドルフィン)を作る仕組みがあり、その受容体があちらこちらにあるらしい。確かに極端な傷を負った場合、その部位に発生するのは「痛み」ではなく「しびれ」ということになるのですね。本当ならすごく痛いはずなのに「痛くないです。すごくしびれているけど」などと救急車で運ばれる寸前のけが人が言っていたりする。痛みが抑えられているのです。そのシステムに鍼は似ている・・という研究が行われているのです。もう少し細かく見ると「ゆったりとしたマッサージや振動、低周波経皮通電も痛みをゆるめるし、強力な電撃様刺激、指圧の刺激、DNIC(*広汎性侵害抑制調節:体中のいろいろな部位に侵害刺激(刺される、切られる、焼かれるなど)を与えると痛みが抑えられるという。Laboratorie de Neurophysiologie :パリ神経生理学研究所のLe Barらが提唱)なども痛みをゆるめるということなのです。そのように様々な研究、報告を受け、1997年、ついにアメリカ国立衛生研究所(NIH)が「鍼灸治療が様々な病気に有効か、有用であるという結論に達し、鍼治療を正式に医療であると認知すべき」との勧告を行いました。これによって鍼治療は一躍医療の一翼を担うことになったのです。アメリカではね(笑い)しかし、現状では「あ〜、鍼灸なんてやめとけやめとけ。野蛮なやり方なんだから」とおっしゃるお医者様もいらっしゃる。これだけ検証されているのに・・・です。

続いて鍼は全般にどのような反応を皆さんに起こすのか?見てみましょう。


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参考文献「鍼灸最前線・監修丹澤章八、尾崎昭弘、医道の日本社刊」