〜アロマテラピーと心身症疾患(不眠症)に関する考察〜 |
Therapist Guild Japan 主宰 長谷川 尚哉 2000.7/28報告 メディカルアロマテラピー研究会では今回アロマテラピーと心身症と題して研究報告を行うが、I.A.Rよりのレシピ解析にあたっては解析を行うにつれ疑問がわき出るというのが現状である。精油の作用機序を考える場合、その成分構成に行き着くのは分析表が公表されることとなった事が大きな要因として考えられる。その為、学問としての追試が可能なレベルを満たしてきたと考えてよいだろう。しかしながら様々な文献では、ある一定の精油を利用することが特定の症状に効果があるとしていながら、その成分構成などが明らかでなく、追試を行うことが出来なかった。分析表を追い求めることはアロマテラピーがオルタネイティブメディスンとして検証されるための序章なのではないかと考える。 しかし、今回を含め2回の研究会、および過去に行った一定のレシピにおける成分構成の集計ではそのレシピ自体の成分構成が明らかになるにしたがい、いくつかの精油を混合することで一定の作用が期待できるとされている成分比が低下し、構成成分のばらつきが激しくなってしまうといった結果を導き出す結果となってしまっている。ここではI.A.Rより「大人の不眠症(不安に喘ぎ、絶望的な気分に陥っている女性に対して特に有効なブレンド)」とされているレシピの解析を行った。 ○Ocimum basilicum L.(バジル) Ocimum basilicum L.はメチルカビコール約85%程度の突出したエーテル型精油であるといえる。 ○Citrus Reticulata(マンダリン=果皮) Citrus Reticulataはモノテルペンを97.92%、その他は1%未満となる精油であり、突出したモノテルペン型精油であるといえる。リモネンを多く含むことから末梢血流量増加などが考慮できるが、香気としては少量のアントラニル酸メチルが特徴づけを行っている精油である。 ○Citrus aurantium var.amara p.o.leaves(ビターオレンジ=葉) Citrus aurantium var.amara p.o.leavesではエステル分が多く含まれ(52.78%)、他にはモノテルペノール(37.32%)、となっており、鎮静系の精油であるといえよう。 ○Artemisia dracunculus(エストラゴン) Artemisia dracunculusはエーテルであるメチルカビコールをはじめ76.93%、モノテルペンを20.66%とOcimum basilicum L.よりはモノテルペンを多く含む精油であるといえる。 ○Chamaemelum nobile(ローマンカモミール) Chamaemelum nobileはエステル系の鎮静型精油であり、リラックス用のレシピにはよく利用される。83.36%がエステル類である。 ○Matricaria chamomilla(ジャーマンカモミール) Matricaria chamomillaはセスキテルペノールであるビサボロール、41%、カマズレン8%となっており、またセスキテルペン類を多く含むことから抗炎症を期待することが出来る精油であるといえる。しかしながらハーブティでは鎮静、催眠がいわれており、どのような作用機序で精油の鎮静が考えられるのか不明である。 ○Lippia citriodora(レモンバーベナ) Lippia citriodoraは少量しか利用されないが、シトラールを含むことから中枢神経抑制作用を考えることが出来そうである。 レシピ上は以上の構成となっており、混合率で解析した成分構成はOHP通りである。結果として考えられるのはメチルカビコールなどエーテル類、リナロールなどモノテルペノール類、リナリルアセテートほかエステル類を多く含むものとなった。この内容でどの成分が効果の基と考えることが出来るか?疑問を感じている。その他に就眠障害不眠用として考えられる精油は単独ではMelissa officinalis、Salvia sclarea、Cymbopogon citratus、Lavandula officinalis、Citrus aurantium var.amara p.o.fleurs(FH)等であるが、鎮静用に考慮できうる精油で、クライアントの睡眠障害の原因を考慮するならばさらに様々な精油の選択が可能となり、何を根拠にアロマテラピーが精油の選定を行うのか?曖昧になってしまう。
※講演時間3時間、集計資料、植物学などレポートを含む。
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