2001-08-10 13:芳樟とローズウッド


kumaさま。みなさま。大変ごぶさたのLe chambre a sommeilierです。

僕自身もなんとか書き込みたいと考えていたんですが、途中でこのページがどっかいってしまったり、勉強会が始まったり、いろいろでなんと数ヶ月のごぶさた・・・(笑い)

今日はとてもとても面白い話題をkumaさまがご提供下さいましたので、書くことにしました。
ご質問は・・・


ところで今回是非皆様のご意見をお伺いしたいのですが、 Rose wood とHo wood についてです。
ご存知のようにRosewoodは主に南米産の熱帯樹で最近は開拓により伐採が進みその貴重性は高まるとともに価格も上昇しているとか。

そこでその代替としてHo woodが使われだしたようですが、果たしてRosewood をそのままHo woodで置き換えてもよいものなのでしょうか?(地球環境保護の問題は別として、化学成分的に。)

この比較についてのレポートを書かなくてはならず、主成分はLinaloolですが、以下の成分の比較や、成分構成の割合の比較をしたいのですが なかなか資料が集まりません。 どなたかご存知の方がいらっしゃいましたら大変助かります。 よろしくお願いいたします。


というもの。

さて、Aniba rosaeodora(ローズウッド)とCinnamomum camphora Sieb. var.glaucescens HAYATA(芳樟)、共にlinalolの供給源ですね。元々「ボアドローズ」はとてもいい香りとして重用されていました。

私たちはブラジル原産と学んでいましたが、調べてみるとギアナ(仏領)あたりが元々の香料用の産地であったようです。ブラジルにも自生するのが分かったのはギアナ産が乱獲で不足した1920年代からだそうです。
笑っちゃう話ですが仏領ギアナでは年間100tのボアドローズ油(カイエンヌ油といったそうです)が生産されていたので収油率1%として10000tの材木が切られたわけですね。そこでブラジル奥地へ「探検の旅」。「社長、見つけました!!これでがっぽり儲かりますなあ!」といったかいわないか?

で、ブラジル産の精油が年間200t!そんなに切ったらなくなるっちゅうの・・・で精油も大量に流通したから価格も暴落・・・原価割れしたので2年(!)も生産を控えたんだそうな・・・さあ、困ったというわけで州政府が1932年に「切ったら植える」という法律を作ったほど。ま、その後ブラジルからの輸出量は1984年で140tぐらいだそうです。ギアナ産はほとんど見られないらしい・・・

さて、Cinnamomum camphora Sieb. var.glaucescens HAYATA(芳樟、Ho wood)はクスノキの成分変種ということは掲示板で書きましたね。こちらは中国、台湾、鹿児島などが栽培地らしい・・元々Cinnamomum camphoraの変種ですからカンファー(ケトン類)を生成する植物の変種ですね。なんでlinalolばっかしつくりだすのか?は不明。調べてみるとなかなか面白いが、昔は数千tも生産されていた時代があったそうな・・こっちの方がメジャーでしたね、というわけ。

でも「合成linalol(ピネン、アセチレン、イソプレンを原料に工場で作る)」に負けて今は天然香料としての需要しかないそうな。 さて、ではこれらの代用はきくのかね?という話。成分表をひっくり返したらこんなことが分かってきた・・・

Aniba rosaeodora (lot No.31/1296-2/5) linalol 81%、α-terpineol 3.3%、campherなし、 nerol 0.3%、α-copaene 1.5%、1,8cineole 1%など。 Cinnamomum Camphora p.o.leaves (lot No.54/1197-1/116) linarol 85%、α-terpineol 0.53% campher0.17% nerol 微量、α-copaene微量、1,8cineole 1.9%など というわけで、Ho woodの方がlinalolが多くなるジャンよ、となる。

しかし分析表だけでは分からないこと(注意すれば分かるが)、がある。これがね、「旋光度」「キラル分子」の話なんです。どういうことかというと、Cinnamomum Camphora p.o.leavesに含まれるlinalolはほとんどが「l-体」、つまり偏光面を左回転(-方向)に回す。しかしAniba rosaeodoraは違うんだな。Aniba rosaeodoraに含まれるlinalolはdl-linalolの複合体なんです。実は昔、ギアナ産ではl-体ばかりだったのですが、アマゾンの産地のものはdl体が混合しているんだそうです。そこで精油自体の旋光度を調べてみると・・・

Cinnamomum Camphora p.o.leaves   -14.95゜
Aniba rosaeodora            -2.20゜
 となる。

旋光度がことなりますねえ。困った問題だ。では、linalol自体の香りの話を紐解くと、Aniba rosaeodoraの方が「野性的で清潔さにかける」そうです。なるほど。 そういうわけで、Aniba rosaeodora、Cinnamomum Camphora p.o.leaves、合成linalolの香りをうちのスタッフで「嗜好型官能評価」をしてみました。

すると・・・ Aniba rosaeodoraが一番香りやすい。香料っぽい。 Cinnamomum Camphora p.o.leavesは一番まろやか。長く嗅ぐならこれが一番。 合成は香りが弱い。 といったようなものとなりました。

次に「linalol自体の評価」。実際のところこれまで調べてきた範囲では毒性の大きな違いは見つからなかった。そうなると、「代用品として大丈夫ジャンよ」となりますね。

しかし、ちょいまち。やはりその点をもう少し考えてみるといいと思う。それから、Aniba rosaeodoraとして販売されていても旋光度を調べるとCinnamomum Camphora p.o.leavesが混ざっていたりして・・・というのもあります。「ボトルの名前」だけを信じることが出来るのか?う〜ん・・・となる。

一応旋光度はAFNORによるとAniba rosaeodoraは-2〜+4゜の範囲ぐらい・・とされています。だからそれらをあまりに逸脱するのはAniba rosaeodoraじゃないかもしれない・・と考えてみることも大切。 うちでは年度で販売がされているときは100mlのボトルを「大奮発」して購入。大事に使っています。うちではやっぱりAniba rosaeodoraが受けがいいなあ。単独のマッサージオイルでもとてもいい。

あとね、「ローズウッド」っていわないで「ボアドローズ」と呼ぶとクライアントが喜ぶのは何故?(笑い)
などと思っております。

以上でした。
Le chambre a sommeilierはそんな方向性で皆さんのご質問にもお答えしましょう。

ではまた。


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